以前、コラム等でも書いたと思いますが、我が家の主暖房はリビングルームに取り付けられた大型の薪ストーブで、廊下にその熱を伝える換気扇をつけ、また、ドアを開け放しておくと、外気温が氷点下近くに下がっても家の中はそこそこ暖かい。部分暖房で済む程度です。
しかし、そのためには大量の薪を燃やし続けなくてはなりません。ストーブを取り付けた当時は新木場にも製材工場は結構あったし、プレカット工場も稼働していた。適当な長さに切らなくてはならないにしても、薪に不自由するということは、考えもしませんでした。
今でも新木場に材木屋はまだ残っているとは言っても、バンドルされて入荷してくる製材品をフォークリフトで積み下ろしするだけだから、端材など出ようはありません。まさか、材木を取り扱っていながら、燃やす薪に苦労する時代が、それもこんなに早く来るとは想像もしていませんでした。
自社で扱う板材で、乾燥後に反ったりねじれたりして売り物にならないものを燃やしたり、古い材の処分で、何とかしのいできましたが、いよいよそれだけでは間に合わなくなり、リビングに大型のエアコンを入れました。普段はエアコンで済ませ、夜、食後に薪ストーブを着けで目一杯薪を入れて床に入ります。それでも3時ころには寒くて目が覚めることもあり、また朝まで暖かいように燃やし直しです。固くて重い広葉樹なら1度入れれば朝まで持つのですが、当社は山武スギを中心とした針葉樹専門なので、ストーブ一杯に入れても2~3時間程度しか持ちません。その後の1時間ほどは暖炉そのものや耐熱煉瓦が蓄熱した熱で急速に温度が下がることはありませんが、それにも限度はあります。
昔の人はそのような生活をしていたのだなどと言っても通用する時代でもなく、倉庫の整理をしつつ薪になりそうなものを見つけると、大喜びで切りそろえます。しかし、我が家には大きな薪の倉庫があるわけでもなく、せいぜい2~3日分を保管するのがやっとです。
金曜日に車のトランク一杯持ち帰っても、日曜日の夜に燃やす分はなくなります。寒い冬の間、日曜日は薪づくりと運搬のために新木場通いで、簡単に薪が手に入る地域以外の都会では、薪ストーブなどというものは部屋の置物にすぎないと、つくづく思う今日この頃です。
ちなみに会社は大型のペレットストーブを入れ、千葉の木材市場に行ったり、賃挽きに行ったりするときにトラックでその近くのペレットを扱う会社に買いに行ったり、それでも足りないときは送料を払って会社まで送ってもらったりしています。これは社員にも来客にも評判がよく、人間が火の燃える様子に和まされることが良くわかります。当社の中で、材木屋らしさを演出する、大きな効果を上げています。